ホワイトデー特別番外編。
「3月14日はお菓子の日なのっ!!」
友達と外で遊んだ帰り道。
家まで一本道、って所にきたら、遠くから可愛らしい声が聞こえた。
「あーっ、ゆきにぃーっ!!」
「ん?マナ?・・・って、そんな慌てて走ってきたら転、」
「うぎゃぁ」
「マナっ!!」
ぎりぎりセーフで、マナの体とアスファルトの間に入る。
両腕に抱え込んだマナは腕があまる位小柄で・・・すごく、甘い匂いがした。
それはもう、大量の砂糖菓子が目の前にドンと置かれたぐらい、強烈な甘い匂い。
「うぅーっ」
「え・・・あ、ま、マナ!?大丈夫か!?」
「ゅきにぃーっ」
「何処か痛いのか・・・?」
「・・・ボロボロになっちゃったぁーぅぅっ」
「ぼ、ぼろぼろ?」
わけが分からなく、とりあえず、抱え込んだマナを惜しみながらも立たせ、埃を払う事にした。
ふと、マナが胸元に何かを抱えていることに気がついた。
「ねぇ、マナ」
「なぁに?」
「何を、大事に持っているの?」
「・・・ボロボロになっちゃったの」
「うん、大丈夫。ボロボロでも、気にしないで見せてごらん?」
「・・・せっかく、おかーさんと、作ったのに、ゆきにぃーに、食べてもらおうと思ったのに」
「え?」
そう言って、恐る恐る腕を解いたマナ。
そこには、ビニール袋に入って・・・ボロボロになった・・・
「あーっと、んー・・・ドーナツ?」
「ぅん・・・ちゃんと、わっかだったの、でも・・・ごめんなさい」
「え、あ、いや・・・なんで、謝るの?」
「お菓子の日、でしょ?」
「お菓子・・・?」
「ゆきにぃーと、お菓子交換するの」
「・・・お菓子交換・・・?んと、ホワイトデーだからってこと、かな」
「ほぉわいとでぇー?」
「っ、あはは、うん、わかったわかった。お菓子交換しよう、ね?」
「でも、ボロボロ・・・」
「いいんだよ。マナが作ってくれたんだろ?」
「ぅん」
「嬉しいよ、ありがとう」
そして、マナが抱えてる袋から、欠片をつまみ、口に入れる。
・・・砂糖の味。
たぶん、マナのおばさんが、揚げたドーナツに、マナが砂糖をつけたんだろう。
その様子が、簡単に想像できて・・・自然と笑顔がこぼれる。
「うん、美味しい」
ようやく笑顔になった、マナ。
「ほんと?」
「ほんとほんと。ほら、お家に帰ろ?」
「うん!」
マナの手を引き、家に急ぐ。